結論:EDP/EDTは「香料濃度」の違いで、香りそのものが変わることもある
香水の商品名の末尾についている「EDP」「EDT」は、香料の濃度による分類を表す略称です。一般にEDP(オードパルファム)はEDT(オードトワレ)より香料濃度が高く、香りの持続力や厚みが出やすいとされています。ただし今回、本図鑑に実際に同じ銘柄名でEDP版・EDT版の両方を収録して比較したところ、単に薄めているだけでなく、ノート構成そのものを変えて再設計しているブランドがあることも分かりました。この記事では、まず香料濃度の定義を整理したうえで、バーバリー ハー、ナルシソ ロドリゲス フォーハー、ディオール ソヴァージュ、ブルー ドゥ シャネルの4銘柄を例に、公式情報から確認できた実際の違いを比較します。
濃度の定義:EDC・EDT・EDP・パルファンの違い
香水は香料の濃度によって、一般に次の4段階に分類されます。濃度が高いほど香料の比率が上がり、価格も高くなる傾向があります。
| 分類 | 略称 | 一般的な香料濃度の目安 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| オーデコロン | EDC | 低い | 香りが軽く、リフレッシュ用途で使われることが多い |
| オードトワレ | EDT | やや低い | 日常使いしやすい定番の濃度帯 |
| オードパルファム | EDP | やや高い | 持続力や厚みを重視したい場面向け |
| パルファン(パルファム) | — | 高い | 香料濃度が最も高い最上位グレード |
この分類は業界内で広く使われている一般的な目安であり、香料濃度の具体的な数値(%)はブランドや製品ごとに非公開の場合が多く、本図鑑では各アイテムの公式ページに記載された濃度表記(EDP/EDT/EDC/パルファンいずれか)をそのままconcentrationとして掲載しています。同じ「EDP」でもブランドによって香料濃度の実数値は異なるため、この表はあくまで大まかな序列として捉えてください。
持続力・拡散力との関係
香料濃度が高いほど、香りが揮発しきるまでの時間が長くなりやすいため、一般にEDPはEDTより持続力(香りが感じられる時間)が長くなる傾向があります。本図鑑の採点軸では「lasting(持続力)」でこの傾向を評価しており、EDPの銘柄はlasting3以上を起点に採点するというルールを採用しています。一方で、香料濃度と「拡散力(sillage、香りがどれだけ広がるか)」は必ずしも比例しません。後述するナルシソ ロドリゲス フォーハーのように、EDPでも香りの拡散を抑えた「肌になじむ」設計のスキンセント系フレグランスも存在します。持続力と拡散力は別の軸として、気になる銘柄のアイテムページでそれぞれ確認するのがおすすめです。
同じ銘柄でのEDP/EDT比較:4ペアの実例
「EDPとEDTで香りは同じで濃さだけが違う」と思われがちですが、実際に公式情報を確認すると、ブランドによって設計方針が異なることが分かります。本図鑑に収録した4ペアを比較します。
| 銘柄 | EDP | EDT | 公式説明から分かる違い |
|---|---|---|---|
| バーバリー ハー | ハー オードパルファム | ハー オードトワレ | 公式サイトに別々のノート説明があり、ベリー系の甘さを軸にしたEDPに対し、EDTはグリーンペアやピンクペッパーを加えたより軽やかな構成として紹介されている |
| ナルシソ ロドリゲス フォーハー | フォーハー オードパルファム | フォーハー オードトワレ | 公式サイトのNotes欄がEDPは「ピーチ・ローズ・ムスク・パチョリ・アンバー」、EDTは「キンモクセイ・ムスク・アンバーウッド」と別の香料構成で掲載されている |
| ディオール ソヴァージュ | ソヴァージュ オードゥ パルファン | ソヴァージュ オードゥ トワレ | 公式にEDPは「バニラ アブソリュートに包まれた」香りと説明され、EDTよりバニラの甘さ・温かみが前面に出た構成とされている |
| ブルー ドゥ シャネル | ブルー ドゥ シャネル オードゥ パルファム | ブルー ドゥ シャネル オードゥ トワレ | 公式にEDTは「シトラスの清涼感とセダーのウッディノート」を軸にしたシリーズ最軽量の位置づけと説明され、EDPはより温かみのあるアロマティックウッディとして紹介されている |
この比較から分かるのは、EDP/EDTの違いは単純な「濃さ」だけではないという点です。バーバリー ハーとナルシソ ロドリゲス フォーハーは、公式サイトがEDPとEDTを別のノート構成として紹介しており、香りの方向性そのものが変わっています。一方でディオール ソヴァージュとブルー ドゥ シャネルは、共通のベースノートを保ちながら、甘さや清涼感の出し方を濃度ごとに調整しているタイプと言えます。「同じ銘柄だから香りも同じ」と思い込まず、購入前に両方の公式説明を確認するのがおすすめです。
どちらを選ぶべきか:用途別の考え方
香水を選ぶときは、香料濃度だけでなく「その濃度でどんな香りに設計されているか」を確認することが大切です。目安として、日中のオフィスなど香りを抑えたい場面や香水を初めて試す場合はEDT、夜の外出や香りの持続力を重視したい場面はEDPが選ばれやすい傾向にあります。ただし今回の比較で見たとおり、EDTの方が甘さ控えめで軽く設計されているブランドもあれば、逆にEDPが肌になじむ設計のブランドもあるため、「EDPだから強い・EDTだから弱い」と一律に判断するのは避けたほうが安全です。気になる銘柄が見つかったら、各アイテムページのofficialNote(公式情報の要約)とlasting・sillageの採点軸を確認し、実際の設計方針を踏まえて選ぶことをおすすめします。同じ銘柄でも自分に合う濃度が分からない場合は、フルボトルを購入する前に少量のアトマイザーで香りを試せる香水サブスクの比較記事も参考になります。
まとめとよくある質問(FAQ)
EDPとEDTは香料濃度による分類で、一般にEDPの方が濃度が高く持続力も高い傾向にあります。ただし、この記事で比較した4銘柄のように、ブランドによってはEDP/EDTでノート構成そのものを変えているケースもあるため、「濃度が違うだけで香りは同じ」とは限りません。購入前は各アイテムページの公式情報や採点軸を確認することをおすすめします。
Q. EDPとEDTはどちらが良い香水ですか? A. 優劣ではなく、用途や好みに合わせて選ぶものです。一般にEDPは持続力重視、EDTは軽やかさ重視とされますが、ブランドによって設計方針が異なるため、気になる銘柄の公式情報を確認するのがおすすめです。
Q. 同じ銘柄名ならEDPとEDTで香りは同じですか? A. 必ずしも同じではありません。今回比較したバーバリー ハーやナルシソ ロドリゲス フォーハーのように、公式サイトがEDP/EDTを別のノート構成として紹介しているブランドもあります。購入前に各アイテムページの公式情報を確認してください。
Q. パルファンやオーデコロン(EDC)はどう違いますか? A. 一般的な目安では、香料濃度はオーデコロン(EDC)が最も低く、オードトワレ(EDT)、オードパルファム(EDP)、パルファンの順に高くなるとされています。ただし具体的な濃度の数値は非公開のブランドが多く、あくまで大まかな序列として捉えるのがおすすめです。







